老犬介護の心得と注意点!最後の時まで慈しむ

医療の進歩や、質の良いフードの開発、飼育環境の改善など、さまざまな要因で犬の寿命はとても長くなりました。犬の歳の取り方は、大きさによっても差がありますが大体1年から1年6ヶ月で成犬となり、5歳から6歳には人間で言うアラフォーになってしまします。

寿命が長くなる、という事は高齢犬として生きる年月が長くなる、と言うことを意味します。

そこで、高齢犬と暮らす上での心構えと注意点について説明していきたいと思います。

 

犬が歳を取ることによる変化と注意点

体の変化と注意点

目が見えにくくなる

黒目をジッと覗き込んでみてください。白っぽくなっていたら白内障になっているかもしれません。目が見えにくくなると、物にぶつかったり、危ないものを避けられなかったりする事もあります。お散歩の時は飼い主さんがしっかり注意してあげましょう。

 

耳が聞こえにくくなる

人間と同じく耳が遠くなる事もあります。名前を呼んでも振り向かない、飼い主の車の音が分からなくなる、などの行動が見られるかもしれません。だからといって、大声を出すと、叱られた!と犬が感じてしまうこともあるので、近寄って優しく声をかけてあげましょう。

 

足腰が弱る

階段を登るのを嫌がるようになったり、ソファに飛び乗れなくなったりします。また、お散歩も途中で帰りたがったりと、愛犬の老化を強く感じる瞬間です。スロープをつけたり、バギーや抱っこ紐など介護グッズを活用して、安全で楽しい生活ができるように心がけましょう!

 

病気になりやすくなる

高齢犬は、内蔵の病気だけでなく、骨や筋肉の病気、感染症などあらゆる病気のリスクが高くなります。また、老化現象と病気の症状の見分けがつきにくいのも特徴です。日頃から、飼い主さんが愛犬の様子しっかり観察しておきましょう。

うちの子は、突然歩けなくなって、慌てて病院に連れて行ったらメニエール病と診断されました。犬も歳を取ると人間と同じように、様々なところに影響が出るんだなぁと、痛感した出来事でした。

 

トイレの粗相をするようになる

これは、複合的な要因で起こることもあります。認知症になり、トイレの場所が分からなくなったり、

自宅を認識できなくなり不安からマーキングを繰り返したり、膀胱が老化現象により、硬くなり尿を貯める力が低下して、お散歩まで我慢出来なかったり、

足腰が弱くなってトイレまでたどり着けなかったりする事が原因です。

正直言って、飼い主さんにとって、これはかなり衝撃的な出来事です。私もそうでした。今まで出来ていたことが15歳を過ぎた頃から突然出来なくなってしまい、焦って犬を叱ってしまいました。

今でも、老犬介護でとても後悔していることの一つです。飼い主さんは、愛犬の老化を受け入れ、失敗しない環境づくりを心がけましょう。

我が家の解決策は、愛犬がおしっこをしたところ全てにトイレシートを敷きました。そうすれば、全部成功ですから!若い頃の躾は、人間の生活に適応してもらうためのもの。

けれど、老犬となった愛犬は、これまで精一杯私たちに合わせてきてくれたのですから、最後の数年間は私たち人間が愛犬に合わせて暮らしたいですよね。

そして、排泄があると言う事は、内臓の機能が正常に保たれている証。それを喜びましょうね!

心の変化

頑固になる

人間と全く同じですね。指示に従わなかったり、わざと無視したりすることが増えます。ムキになって服従訓練などせず、「年取ってがんこになったのねぇ」と対応してあげましょう。

 

認知症になると過剰に不安になる

人間でもそうですが、認知症は記憶が思い出さなくなる病気です。愛犬が、自分たちや自宅のことを忘れてしまうのはショックですが、一番不安なのは愛犬です。

何がなんだかわからないところに、1人ぼっちで頑張っている。それが愛犬が体験している現実です。

優しく声をかけ、体を撫でてあげましょう。記憶が思い出せなくなっても、嬉しい気持ちや安心できる気持ちはちゃんとあります。愛犬が一番安心する方法で声をかけてあげられるのは、飼い主さん、あなたです。

これまでの愛犬との生活に自信をもって、接してあげてください。

老犬介護の心得

愛犬の心臓に耳を当ててみてください。私たち人間より、随分と速い鼓動が聞こえてくると思います。鼓動のスピードは生きているスピードです

愛犬は私たちより速い速度で歳をとります。飼い主より若かった愛犬は、知らない間に、自分より歳をとり、最期の時を迎えます。

まず、老化現象は自然なことである、ということを認識しましょう。

そして、出来なくなることを叱らないであげましょう。愛犬家なら一度は聞いたことがあるかもしれない、犬の十戒。犬を飼っている人なら、よくわかると思います。

愛犬も、そうやって何年も飼い主さんに寄り添ってきたのです。介護はそれを少しだけ、愛犬に返すことができるかけがえのない時間です。

問題行動などがあると、途方にくれたり、イライラしたりすると思います。

けれど、愛犬を看取ったあとは、その時間さえも愛おしく感じる時間です。苦しい気持ちは痛いほどわかります。

けれど、その苦しい時間も、必ず終わりがきます。家族や友人、獣医さんや看護士さんに相談して、一人で抱え込まず対応していきましょう。

 

最後に

愛犬の介護は大変です。簡単とは言えません。けれど、飼い主と愛犬が、最期に絆を確認し合う、愛しい幸福な時間でもあります。

名前を耳元で呼ぶと、あまり見えてない目でこちらをむき、僅かに尻尾をふる。食事を介助で食べさせている時の、安心しきった愛犬の顔。

子犬の頃も、もちろん可愛いかったけれど、長く連れ添った愛犬が200%の信頼を寄せて、体を、命を預けてくれる瞬間は、何物にも変えがたい幸せを感じることができました。

今この瞬間、介護に奮闘している飼い主さんたちに、心からのエールを送ります。

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