初心者必見!プロが教える煮物を美味しく簡単に作るコツ!!
煮物は難しそうだし、面倒くさいし、作り方もよく分からな~い!と思ってなかなか踏み込めない方も沢山いらっしゃると思いますが、この文章を読んでくださった後に『ちょっと作ってみようかな?』と思っていただけたら幸いです。私の専門は西洋料理なので、和食を偉そうに語るつもりはありませんが、アドバイスくらいは出来ると思います。よかったら最後までお付き合いください。
煮物料理で大事なポイントは味付けの基本を知ること、食材の特徴を知ること、仕上がり時のイメージを持つ事の3つです。ここさえ理解し把握できれば料理のレパートリーも増えるし調理が楽しくなるはずです。
仮に煮物の課題を挙げるとしたら…
- 味付けがよく分からない
- 味が濃かったり、薄かったり味付けにムラがある
- 火が入っていない具がある
- 煮詰めたりするやり方が分からない
- 手間が掛かる
- インパクトが無い etc…
これくらいでしょうか…?
これらの課題も3つのポイントを覚えればママゴト!?くらいの感覚で料理ができます!
ポイント1
《味付けの基本は“さ し す せ そ”》
料理をしていく中で、もっとも大事なのはベースです。よくレシピや黄金比とか聞かれると思うのですが、これらはあくまでベースがしっかりしていなければ美味しく仕上がりません。
『レシピ通り作ったのに全然美味しくなかった!』
という方もいらっしゃるでしょう?中には本当に美味しくないレシピもあるかもしれませんが…大体はベースの味がしっかりついていなくて味が乗らなかった可能性が大いにあると思います。
それくらい、ベースというのは大切なので、ここからきっちり身に着けていただきたいと思います。
それと、味付け“さしすせそ” は、それぞれ砂糖、塩、酢、醤油、味噌の頭文字からなる味付けの順番と言われていますが、大体間違いではないですのでこの“さしすせそ”もしっかり覚えておきましょう。
【お酢はなかなか登場する機会はありませんが…】
私が煮物を作る時の工程としては…
- 具材を炒めたり、そのまま鍋に入れたり、物によって具の調理法は違いますが、まず仕上がりの状態をイメージしてください。(汁気が要るのか要らないのか)
※仮に筑前煮だったとしたら、汁気は具材より少ない量になりますよね?
- そこで具材より少ない出しベースを作っていきます。
※出しでベースを作る際に、塩も入れてインパクトある出しを作る。
- 砂糖、味醂、料理酒で甘味を調整する。(甘めの方が醤油を足した時に味付けしやすい)
- 醤油を入れていきますが、基本は薄口醤油で味を調えます。
- 濃口醤油や甘口醤油は風味や色付けの感覚でいいです。
- 逆に濃口や甘口で味を調えたら真っ黒の煮物になりますよ!
ここまでが仕上がった時の状態です。
- ここで具材が柔らかく炊けるまでの水を加えて一度沸かし、アクを取り除いたら弱火にし⑤の時の水位まで詰めたら出来上がりです。
- 火を止めたら胡麻油を数滴たらして風味をつけましょう。(煮物の種類にもよりますが、醤油ベースと胡麻油の愛称はいいです。)
- もしあるのならば、青身(インゲン、絹さや等)を飾れば完璧ですw
☆ここまで理解できたら、味付けが分からないとか、味の濃い薄いのムラ、煮詰め方、インパクトを解消できてるはず!
ポイント2
《食材の特徴を知る》
食材の固さはそれぞれあります。煮ても繊維が壊れない食材も、煮たら崩れるものまでピンキリですが、その食材をまとめて炊いたら火が入っていないとかボロボロになったとかどなたでも経験ありますよね?
そういうトラブルを解消するためにも、まずは食材を軽く知っていきましょう。
根菜類…基本的に煮崩れしません(人参、蓮根、ごぼう など)
芋類 …煮込めば崩れて原型を保ち辛い(じゃが芋、さつま芋、里芋 など)
葉物 …火が入るのが一番早いし、余熱でも火が入るものもある(白菜、春菊、水菜 など)
上記の知識を知っているだけで調理法も考え方も変わります。
例えば筑前煮だとしたら、ほとんど根菜なので全ての具材を一緒に入れて煮ても煮崩れの心配は無いですが、肉じゃがの場合は他の具材と一緒に煮てしまうと、じゃが芋だけが煮崩れを起こす可能性が十分あります。その時は、じゃが芋以外で味付けをし、時間差でじゃが芋を投入すれば煮崩れしない綺麗な肉じゃがが出来ます。青身を飾るのなら、火を止めて混ぜ合わせてもいいし、別口でボイルして上から飾ってもいいでしょう。
この様に煮込む時間をずらしたり、別々で煮たりするだけで失敗を防げます。
- ここを理解できたら火が入っていない具は無くなります。
ポイント3
《仕上がり時のイメージ》
上記の分でも出てきましたが、仕上がり時のイメージ?と思われるかもしれませんが、実際に出来上がったものが、【味付けをした時より水位が多ければ薄いインパクトの無いものに仕上がる】し、逆に【水位が少なければ濃い料理になり、下手したら辛くて食べれない】かもしれません。それを踏まえて味付け時の状態を覚えておけば、煮詰めた時でも丁度良い味になっていることは当たり前ですよね?
『ベースの味を薄く作って、煮詰めてしまえば丁度よくなる!』という適当な考えではなく、仕上がった時にこれくらいの水位が妥当だな!と思う位置で美味しい味付けをし、後は水を加えて具材が柔らかくなる(味付けした時の状態)まで煮込めば、当たり前に美味しい状態になります。
味付けに関しては、上記のイメージだけでOKなのですが、実際に食卓に並べた時もお忘れにならない様にしてください。
例えば…
- 冷凍野菜でも構いませんので、青身の野菜で色味を出したり、季節によっては春野菜を飾ったりすることも食欲をそそる要因にもなります。
- 前文で胡麻油を数滴たらすとも書きましたが、毎回ではなくていいので、たまに変化を付ける意味でいつもとは違うものになっていきます。
- いり胡麻を散らすだけでも風味も色味も増します。
《最後に…》
ここまでの3つのポイントは理解できましたでしょうか?
美味しく簡単に作るポイントのおさらい
- 和食の基本的な味付けは“さしすせそ”ですが、お出しをしっかり味付けてから“さしすせそ”の順に味付けしないと味が乗りませんのでベースと順番は気を付けましょう!
- 食材によって固さや特徴があるので、カットの大きさや煮る際の順番なども考慮しましょう。
- 煮出しのベースを作ってから、水を足して煮詰めて火を通していくこと。
- 水を足す前の状態を覚えていて、それ以上、それ以下に煮詰めない様気を付けましょう。
- 仕上げの胡麻油だったり青身(絹さや、インゲンなど)も飾ったりして盛り付けの変化も付けましょう。
地方によって、醤油の味も全然違うし、料理酒か清酒、みりん風か本みりんによっても味が変わるし…しかし食費を抑える思考だと料理酒とみりん風になってしまうし…正直、料理に関してはどれが正解とかはありません。
ただ、自分やパートナー、家族が美味しいと言ってくれることがなによりの報酬で正解と思います。
全く料理をしたことがない方で、煮物が簡単とは言い難いかもしれませんが、煮物に限らず大体の味付け方法は同じですので、是非参考にしてください!
おまけで味付けする際に気を付けてほしいことがあります。
料理には甘味と辛味の原理というものがありまして…
温かい料理では甘味が引き立ち、辛味が引き立たない
冷たい料理だと辛味が引き立ち、甘味が引き立たない
これは是が非でも役に立つので覚えておいてほしいです。
コーヒーで例えると分かり易いかな?
ホットコーヒーは糖度の低いグラニュ糖でも十分甘く感じるが
アイスコーヒーは糖度の高いシロップでもある程度入れないと甘く感じない
フルーツも冷蔵庫でキンキンに冷えたものより、常温の方が甘味が増すのです
お味噌汁とか味見した時は丁度良くても、食卓で飲んでみたら辛くなっていたとかありますよね?これも温度差による味の変化です。キッチンで熱々のものを味見して丁度良くても食卓に出した時には温度が下がって辛く感じるのです。
だから味見をする時は是非、食卓に並んだ時の温度を意識して味見をしてください。
- 特に煮物系は濃くなりがちなので…
長い文章になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。少しでも料理が面白いとか楽しいと思ってもらえたら幸いです。